なんですか? これ

気が向いたらなんか生える

院試狂騒曲

どうも、無事第一志望を通したので合格体験記を書きます。

どこぞの(系の所属人数より修士の合格者数が少ない)地球惑星科学系の方は参考になるかもしれません。

 

記録

地球惑星科学系(以下、ちわく)の院試は午前午後各4問の計8問で構成され、各2問ずつ答える形式です。特に解く問題の制限等はありませんが、専攻分野によっておおまかに数学・物理を解く人と地学・化学を解く人に別れます。もちろんこれを横断して(例えば地学・数学で)解く人もいます。

私は数物一本で臨んだので、地学・化学の方は全くわかりません。基本的に数物を解いた人間の体験と思って下さい。内部生なので外部の場合とはかなり異なると思います。

また、一部の非常に人気が高い(特に外部からの)研究室志望の場合はより厳しいものになると思われます。

 

自分について一応書いておくと、

TOEIC:推定受験者平均以下

成績:専門は中の上くらい?全体的に点がインフレする系なのでわからん

併願は東大のみで、天文と迷いつつ地惑を選択。併願については、出願がめんどかったり東工大受けたあとで受けたくなさすぎたりしたが、精神的にはかなり楽になるので受験料3万円を払う価値はあったと思う。

 

3月

研究室配属が終わったのでぼちぼち院試の勉強を始める。とりあえず不安があった電磁気と量子に手をつけようと思い、電磁気は大学で適当に借りた演習書をやったり、量子はJ.J.サクライの該当範囲を触れたり。なお院試にはブラケットを使う量子の問題は出ない。まぬけ?

そう、実のところシン・エヴァンゲリオンの公開でそれどころではなかったのだ。もう10年くらい追ってきたエヴァの完結には25年来のファンほどではないにせよ思い入れがある。

観劇後は感想・考察を漁ったり、過去のエヴァを見返したり、視聴圧が爆上がりした作品(トップ2、ピンドラ)を観たり、Discordでエヴァの話をしたりしていた。庵野監督に、ありがとう。エヴァに、さようなら。全ての連なる創作物に、おめでとう。

3月の後半にやっと過去問を眺めて傾向を探りだす。なんか女神転生をやったりもしてたらしい。危機感がない。

 

4月

例年通り系で院試対策ゼミが始まり、以降は週2回ゼミを行い過去問を解いていった。

ここで倍率の話をしておくと、ちわくは募集人数が19人、ここ数年の合格者数が21~24人。それに対して今年は研究室に所属した人数が40人ほどと例年よりかなり多く、例年の受験者数から外部生は10人程度が受験すると考えられる。

 

院試は内部有利と言われるがこの人数ではどう考えても内部で争うことになる。院試対策ゼミSlackに参加していた人数だけでも24人おり、どう頑張ってもこのうちの何人かは落ちる。これ見たことある!養成所の最終試験が同期との殺し合いのやつだ!

過去問のほうは解ける分野は解け、解けない分野はようわからんという感じ。過去10年分ほどを古い方から解いていったが、教員の変遷に従って出題傾向はけっこう動きがあると感じた。

普通に解けない分野がまあまああったのと、倍率のことを真面目に考えだしてしまったので危機感が出てきた。物理より数学がまずいと感じたのでとりあえず物理数学の講義の復習から始めた。

 

5,6月

このあたりからぼちぼち自分の卒論が動き出すので、研究室のセミナーもあり微妙に時間がなくなってくる。引き続きゼミで過去問を解きつつ、講義の復習をしていた。あとは過去問16年分の傾向を調べて範囲をまとめたりしていた。これは後で特定分野の問題を解きたいときに役立った。

5月の最終週あたりから院試の勉強に飽き始めたのと、研究でしっかり論文を読む段階に入ったことから過去問ゼミ以外の院試対策が中断される。

6月はその週の分の論文を読み終わったら過去問を解いてあとの時間は普通にだらだらしていた。STARDEW VALLEYというゲームを友人とプレイするべく買ったら普通にハマって50時間くらいやってたらしい。バカ?まあ作業ゲーだから他と並行できなくもないし・・・

週1でミーティングのために登校していたので、ついでに毎週映画を観ていた。スタァライトとポンポさんが同時期にやってたのはすごいしやっぱり映画は映画館で観たほうがいい。いつか見たいと思っていたスタァライトをこの時期にアニメからまるっと見れたのは結構よかった。Twitter見てたらイラストがよく流れてきて癒やされた。

この時期に東大の志望研究室を決めて面談したり、2校分の出願をしていたのでこれがめんどくさゲージを溜めていたのかもしれない。

 

7月

残りの時間を数えていよいよ危機感が増してくる。と言っても最初の方はヘラヘラしていたが。

一般的に当系の研究室では院試休みがあり、7月第2週くらいから研究室がストップしたので心機一転して院試対策を進める。とりあえずうろ覚えだった線形代数は教養の教科書を一周し(めんどくさがってたけど2日かからんかった)、勘で解いていた量子と統計は教科書の出題範囲を読んだ。量子は猪木・川合、統計は田崎を用いた。講義もこの辺を基に構成されていた印象があるのでうまく刺さった。

過去問ゼミの方は6月までで予定されていた分が終わったので、より過去の問題や東大地惑・天文の問題を持ち寄って解いた。東大の問題は範囲が異なる部分もあったが良問が多く、特に天文の問題を解いていた受験者は少ないと思われるため、他と差がつけられた部分だと思う。

これと並行して復習した範囲の問題を手持ちの過去問からピックアップして解き直していった。教科書の演習問題が基本的に好きではないのでそういう意味でも過去問は重宝した。古い過去問は傾向としてはあてにならないが演習としては悪くなかった。

 

7/21にポケモンユナイトがリリースされる。体験版時点で楽しかったこともあり、ハマる。ウマ娘やモンハンライズは頑張ってスルーしてきたから許してね。院試2週間前にあたる8/4までの2週間で55時間ほどプレイした。終わりか?

ゲンガーが一番強かった時期に思う存分振り回せたので悔いはない。

 

8月

実は8月の最初の数日まで東工大の受験日を東大の受験日と間違えており、受験までの日数を一週間多く見積もっていた。併願の悪いとこ出たね。

この事態には流石の私も顔面蒼白になり、一気に余裕がなくなってくる。急遽予定を圧縮し、ポケモンユナイトを封印することにした。

とりあえずとっておいた2019年以降の過去問を初見で時間を計って解きつつ、電磁気は講義からの出題が多いことに気づいたので急遽講義の内容をまとめ、並行して過去7年分くらいの周回を行う。このあたりはかなり焦っていたので院試関連以外のことはほぼしていなかったと思う。

結果、初見の問題でも必要最低限の点数は取れそうだとわかる。最後の数日はやることも特に思いつかなかったので流体の復習をして、物理学系の解ける問題を解いたりしていた。

 

筆答試験当日

4時寝の生活から一週間くらいかけて睡眠時間を調整し、前日は睡眠導入剤を飲んで23時に入眠したが案の定1時過ぎに起きてしまう。重要な試験前日に満足に寝られたことがない。

その後3時すぎまで寝られず。学部入試でも初日3時間睡眠でどうにかなったことだけをひたすら反芻する最悪の時間を過ごす。

 

その後なんやかんやで起床し試験会場に向かう。どうせ満足に寝れない気がしたのであらかじめ買っておいた500mlのモンエナを飲んでどうにか解ける状態に。

しかし午前の問題は過去問から大きく外れ、いわゆる荒れた部類だったと思う。それなりに解けたものの自信のない問題が多くかなり不安が残った。幸い併願先があったことや、友人たちと軽口を叩きあうことでメンタルを回復。併願しといて良かった。

昼休みは外に出られるのでレッドブルチオビタを補給する。午後の問題は午前に比べればやりやすかったので、私自身も周囲もある程度楽観モードに。試験終了後は家で軽く答え合わせをした。

 

口答試験当日

ちわくの場合、筆答試験での足切りはなく全員が口答試験を受ける。こちらはオンラインで行われたため、圧迫感も少なく早起きをしなくてよかったので気楽だった。

内容については伏せるが、順当な志望だったためかあっさりと終わった。陰湿フレンドと順番待ちシステムを利用して面接時間を測り合否と内容を予想してたのは秘密だ。長いと20分以上かかることもあるらしい。

試験はこれで終わりなのであとは合格発表を待つ身に。とりあえずdアニから消える前にTEXHNOLYZEを見たり温泉に入ったりした。

 

問題について

たぶんこっちのほうが需要があるので、一応。

数学の出題範囲はざっくり線形代数、ベクトル解析、微分方程式フーリエ変換、複素積分複素関数、特殊関数・直交多項式。今年は私が知る限りでは初めて統計学らしい統計学が出た。

過去問を解くなどして解法に慣れればどうにかなる。難しいことをやる場合基本的に誘導があるのでそれを意識するのがよい。と言っても分かりづらい問題もあるが。記述式だが数学科的な論証はあまり求められないと考えていいはず。ちわくだし・・・

個人的には複素関数等で出る大学入試っぽい問題が一番嫌だった。やり方覚えとらん。

 

物理の出題範囲は(解析)力学、電磁気、熱、統計、量子、流体。今年は2012以来で光学が出た。

典型問題が多いので過去問をやった上で不安な場合はそのへんの演習書をやるのがいいと思う。体感数学よりも過去問があてにならない(新しいものでも)。ただし見慣れない問題でも解法が似通っていたりはする。最近は領域の中間のような分類しにくい問題が増えている気がする。

流体については、長いこと出ていなかった時期があるが、近年重要度が増してきたように感じられたので余裕があればやっておくと良いと思う。今年は大問としては出ていないが流体の基礎知識がないと解けない問題はあった。

 

正直、問題自体の難易度は落ち着いて時間をとって解けばそこまで高くはなく、それよりも時間が厳しいと感じた。そもそもが2.5h×2という東工大院試でも屈指の長期戦である。

問題数が少ないということはなく、また思考に長時間を要する問題はそこまで多くないため、試験中は基本的にペンを動かしていることになる。

当然集中力が続かないため、手を動かしていけば解けそうな問題でも整理して解くことと、ある程度計算量や記述量を圧縮することを意識した。それでも本番は午後の問題でケアレスミスを連発してしまったが。

受ける予定のある方は一回は午前午後を通しで時間を測って解き、感覚を掴んでおくべきだと思う。

 

私は過去問信者なので直前期に過去問を周していたが、あまり過去問を信用しすぎてはいけないことがよく分かる試験だった。過去問を信用しすぎてはいけない。

 

感想

けっこうヘラヘラしていたが、大学受験とも異なる独特の辛さとプレッシャーがあった。大学受験だと思っていたが、内部生の感覚としては「留年がかかったそこそこ難しい単位の試験(範囲がバカデカい)」とかの方が近いかもしれない。研究室からもそれとなくプレッシャーをかけられるし。

メンタル的にも情報的にも系内の友人と対策ができたのはかなり助かった。このあたりも期末試験っぽい。互いに落とし合おうとしていたけど。

とにかく落ちたときが面倒くさそうなので、失敗したときの進路はちゃんと考えておくと精神衛生上よい。冗談めかして言っていたがわりと真面目に院浪する気があった。

また、今年は時勢的に遊んでいる人が少なかったことと、夏コミがなかったことは幸いだった。コミケがあったら多分行って落ちてたと思う。

 

さいごに

今年は29人も合格者を出したらしい。そんなことある?

試験会場で推定した実質倍率は1.5倍程度だったので例年程度の合格者数でも受かってたと思います。(傲慢)

 

院試対策ゼミを管理してくださった方々、本当にありがとうございました。院試のアドバイスをくれたり、狂っているときの僕の相手をしてくれたみんなもありがとう。

 

それではまたいつか。